今私は江國香織の「ぬるい眠り」という単行本を読んでいます。
この中には、「ケイトウの赤、やなぎの緑」という短編が収録されているのですが、
この作品は、江國香織の小説の中で一番最初に映画化した
「きらきらひかる」の続編になっています。
当時たぶん中学生くらいだった私もこれをビデオで観ましたが、
今となっては全く覚えていません、筒井道隆と豊川悦司の濃厚なキスシーン以外は。
主役の三人以外に誰が出ていたかも全く思い出せないけど、
三人は江國ファンも納得の配役かと思います。
これ以降数多くの江國作品が映画化されていますが、どれも観る気にはなれないなぁ。
江國香織を小5で初めて読んだ時から(当時は彼女が子供の本を書いていたから)
するする、するする、と文章が体に入っていったのを覚えています。
それは今でも続いていて、新作が出るといっきに1日くらいで読了してしまいます。
でも、正直、江國作品の中に出てくる女性たちに共感したことはこれまでありませんでした。
女性たちはみな、クール(でも、心の芯は情熱でできてるような)ではかなげで感覚だけで生きているような人物なのです。
だから、読んでいても、彼女たちを見るのはとっても客観的な目線だったのですが、
私も年を取り、いろいろなことを経験し、初めて江國作品の女性に共感しました。
表題作の「ぬるい眠り」という作品の中に、“愛情を埋葬してやった”という言葉があるのですが、
これを読んで、私は愛情を埋葬できなかったなあ。と思いました。
一緒に居れない相手への愛情は埋葬しなきゃしょうがなくて、
埋葬しよう、埋葬しよう、としたけどできなかったという経験があります。
そんな経験も経て、最近結婚をしたのですが、
久しぶりに江國香織の恋愛小説を読んで
「ああ、もう恋はできないんだな」とちょっとさみしいような気になりました。
恋の始まりのあのドキドキ感、キラキラ感をもう一生味わうことはないんですね・・・。
いや、結婚したって人生何が起きるかわかりませんけどね!
(なんて言ったら母親に怒られそうです)